雑学3
 

■住宅と雑木林

先日、東大阪と大津・仰木の里の住宅を訪れて、住宅の庭を見せていただいた。 このふたつの庭を設計した 「庭 遊庵」田島友実氏 は住宅と庭との関係を「もっと密接に」という考えを持っている。
ふたつの住宅の庭は、巾13〜14m、奥行5m程度、約60m2程度で 庭という感覚からは少し狭いかもしれないが、郊外の庭の広さとしては 平均的な広さと言えるだろう。


   東大阪
我々住宅設計者側から言えば、庭は住宅の連続空間として捉え、デッキやテラスを設け、 庭へのアプローチを試みる。。 彼は庭全体をコナラやクヌギなどの落葉広葉樹と下草のヤブランなど、そして砕石の小道で 外部空間を構成した。 住宅の小さなスペースに、我々が過去に経験した(又は想像する)懐かしい雑木林が 復元してある。

従来の視覚的要素を主眼にした庭でもなければ、今はやりのガーデニングの庭でもない。 住宅の窓際に大きなケヤキの木があり、庭先には中木のコナラ群が密に植えられている。 足下には野イチゴやキキョウがある。 家人のお話を聞いてみた。今まで庭に出ることがなかった主人が出勤の前に庭におりる。 木の枝に止まっていた鳥が地上にまでおりてくるようになった。敷地外の落ち葉拾いを していなくては・・・。又知らない草花を調べる為に植物図鑑を家に揃えたなど、庭に 関わるお話が尽きない。我々が考える住宅と外部との関係が、より強い関係がが出来上がっている。 それは、雑木林という生態系の豊かさや少し、手入れの必要なものが家人を引きつけていると思う。 更に東大阪の奥様は、「庭に毛虫が出たら火箸で除去しますし、通行に邪魔になる枝は 切り落とします・・・」と続く。これが生活の中の環境調和であろう。
何もかもを尊重するのではなく、生活に合わせた範囲の中で、生態系を考え、 行動する事でよいのではないだろうか。逆に言うならば、生活の規範の確立を 雑木林が育てているとも言える。この事は人間の価値判断にも大いに関与しているわけで、 従来の「便利なもの」、「手間の


   仰木の里
かからないもの」の価値から、雑木林が寄り添って 強風に耐えている様に、「共生しているもの」に価値を移して行かなければならない。
私は日頃の思いの地球規模の環境共生と同様に、足下にある環境を見つめて、 その中に生活がある地域環境共生を家人のお話から感じ取った。
6月の雨の上がった昼下がりの木漏れ陽は美しかった。
 
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