雑学1
 

■白神山地のブナ原生林

6月9日から3日間であるが、秋田県と青森県の県境にまたがる白神山地を訪れた。 世界遺産に登録されたブナ原生林を観るのが目的である。
能代市・三ツ井町から藤里経由で藤琴川沿いに駒ヶ岳へと向う。
能代市には、秋田杉の銘木を使用し、昭和12年に完成した『料亭 金勇』があり、 その大広間の天井は1枚1畳大もある良材の杢板を四畳半枡に組まれた格天井(写真1)で、 板の大きさ、天井の風合い共、立派なものである。樹齢260年と聞く。


   写真1
ニツ井町は、現在の秋田杉で耐震性ある貫工法や高断熱、高気密工法の町営住宅が建設され、 又、建築中であった。私が住む温暖地方と違い冬の雪や寒さの厳しい土地の自然に対する知恵 や努力が伝わってくる。料亭であろうが住宅であろうが、これらは地域特有の条件を生活の中 に取り組み、工夫した生活そのものが表れている。

白神山地は、総面積45,000haの広がりをもった山塊である。その中核的な部分の約 16,000haがブナを中心とした「原生」的な自然で、1990年に森林生態系保護地域に 指定され、そのほぼ全域が1993年12月に世界遺産に登録された。この白神山地が注目 されているのはブナ原生林だけではなく、保護管理に関した議論でも注目を浴びている。 指定された地域は保存地区と保全利用地区に分けられていて、保存地区の「手入れ」に関しての 議論である。問題点を要約して挙げれば、
  1.原生自然を保護する
  2.自然とのかかわり
  3.地域における考えの差
以上、3つの要点で青森県側と秋田県側とで差があるということが議論の対象となっている。 青森県西目屋村側は国有林比率が83.1%と高く、逆に秋田県八森町側は35.5%である。 この数字が意味するのは、この地域の人々の山地との関わり方、暮らし方の違い、さらに言えば 、「秋田杉」という木材ブランドの存在など両県の林業基盤から生活スタイルまで根本的な違いが あるという事である。ここで詳細はのべられないが、この違いが前述した「自然とのかかわり」 方を違わせ、自然の保護、保全の考えの差として現れている。我々が豊かなブナ林の中で傍観的に 自然の尊さを感じるのとは別のところに、この地域の人々の保護、保全がある。
「環境に配慮した住宅」に書いた様に、「人間と自然の関係性の穏やかなシステム」が、この 白神山地が必要としているものだと思う。
ブナ林は杉林と違い、木漏れ日があたたかく、小動物の生息を感じ、地面の柔らかさを踏み歩くと、 心豊かにさせてくれる。都会で住む人々


   田苗代湿原
は、この自然の豊かさとこの地域の人々の生活を思い 意識することが必要で、登山や釣りを通じて「よそ者」として、この地域の人々の自然保護の あり方とつなげていき、都会に残るわずかな緑や雑木林の保護や保全の仕方に知恵をしぼらねば ならない。こういう姿勢が環境共生の本質と考える。白神山地の紅葉に思いを馳せながら思う。
 
<参考文献>
「自然保護を問いなおす」
      鬼頭秀一著/ちくま新書
「料亭金勇」ホームページ
 
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